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2026.01.18
コラム
銀歯治療するほど赤字は本当なのか
銀歯治療をすほど歯医者は赤字は本当なのか? 結論から先に言うと本当です。

2026年1月8日のANNニュースで、(歯医者が悲鳴) 銀歯高騰「治療するほど赤字」というタイトルのニュースが流れておりました。
当院でも、保険の銀の被せ物(金銀パラジウム合金)の支払い金額と、現在の保険診療報酬を比べてみましたが、赤字でした。
その原因は、金属価格の急激な高騰によるものです。

かなり以前から、金属価格の高騰は歯科業界の中でも大きな問題になっていましたが、ここ最近の世界情勢や、円安などで異常な価格高騰が起こっています。当然、銀歯治療すればするほど歯医者は赤字になると言えます。
やっかいなことに、金属の使用量の多いブリッジなどは大幅な赤字が考えられます。

最近よく耳にするメタルフリー歯科治療(金属材料を使わない歯科治療)は、白い歯を入れることで審美的な問題や金属アレルギーの問題などを解決するために多くの歯科医院で行われるようになってきましたが、経営の面で歯医者側が出来るだけ金属を使いたくないという思惑もあります。
最近では、虫歯治療で金属の詰め物や被せ物をするよりも、レジン充填(白い樹脂を詰める)、CAD/CAM冠やCAD/CAMインレー(強化樹脂の白い被せ物、詰め物)、セラミックやジルコニアなど、金属を使わない修復治療が、患者様側からも歯科医師側からも好まれるようになっています。

自由診療であれは、今一番ベストな歯科治療方法を提案できますが、保険治療は縛りが多くの歯科医師が治療方法に頭を悩ます状況になっています。

具体的な例を上げると、保険治療では、強化樹脂のCAD/CAM冠もよく使われるようになりましたが、ブリッジなどは大きな噛み合わせの力が掛かるため破折の危険性が高く、限定的でしか使われておりません。

また保険治療では、非金属であるチタン冠を大臼歯で使うことができるようになっています。
しかし、チタンは鋳造(チタンをドロドロに溶かして、被せ物の形の鋳型に流し込む)が難しくチタンブリッジは保険治療では出来ません。

CAD/CAM冠やチタン冠にもメリットとデメリットがあり、デメリットが大きく考えられるケースは、従来の銀の被せ物(金銀パラジウム合金)を
使わざるを得ないことも多いのではないかと私は考えています。
例えば、くいしばりや歯ぎしりの強い患者様の噛み合わせを確保するためや噛み合わせが不安定な患者様の噛み合わせ安定のために使います。
もちろん、銀の被せ物にも従来から言われているデメリットは多くありますが、保険治療なのでその点は妥協せざるをえません。

この先、歯科保険治療の診療報酬も材料費高騰や物価高について行けず、保険治療がどんどん先細りになる懸念があります。
このままでは、保険治療では必要最低限のクオリティの治療もできなくなるのではないかという不安も多々感じています。
「保険治療の質は、歯科医師の良心頼み」そんな時代がもうすでにやって来ているのかも知れません。
「赤字であっても、患者さんに最善の治療を」という歯科医師の倫理観に依存する現在の体制は、将来的に保険診療の質の低下や、保険診療からの撤退を招くリスクを抱えています。
「歯科医院の保険診療の経営的な負担」によって歯科保険診療の質が低下するという事態は、日本の国民皆保険制度の根幹に関わる問題です。
私は、歯科医師の先生方が「良心」を削ることなく、適切な報酬のもとで技術を発揮できる環境が整備されることが、患者様の利益を守る唯一の道であると考えています。